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糖尿病内科

※当院はGLP-1作動薬やメトホルミンなどの保険適応外処方はいっさい行っておりません。

当院の目指す糖尿病治療

私は初期研修ののち熊本大学病院の代謝内科(現在の糖尿病・代謝・内分泌内科)に入局し、常勤・非常勤を含め熊本県内の多くの病院で勤務してきました。外来および入院で1型糖尿病、2型糖尿病、膵性糖尿病、ステロイド糖尿病、妊娠糖尿病など多数の症例を経験し、食事療法からSAP(リアルタイムCGM付きインスリンポンプ)療法まで、様々な治療を行ってきました。

どの地域の基幹病院でも血糖コントロール不良の患者さんがたくさん通院されており、病型を問わず「インスリン頻回注射(インスリンを自分で1日4~5回皮下注射する治療法)」を行っていらっしゃいました。インスリン頻回注射療法は確かに強力な血糖降下作用がありますが、患者さんの金銭的・精神的負担はたいへん大きいものがありました。またインスリン治療はどうしても低血糖のリスクが付きまとうのですが、低血糖はむしろ高血糖より脳細胞や全身の血管にダメージを与えるという報告もあり、インスリンの副作用によってかえって患者さんの血管病変や認知機能を悪化させることもあり得ます。またインスリン注射には肥満を助長するという副作用もあるのですが、肥満の糖尿病患者さんにインスリン注射を行うことは、肥満の治療という観点ではむしろ悪影響であるという矛盾に悩んできました。

そのような経験から、当院では「インスリンをできるだけ使わない糖尿病治療」をモットーとしています。インスリン注射を行うにしても、できるだけ1日1回の基礎インスリンとし、また注射を使うにしてもインスリンではなく、体重減少効果や糖尿病合併症の抑制効果があるGLP-1作動薬が望ましいと考えます。内服薬についても、インスリン分泌能の低下した患者であればインスリン分泌促進系の薬剤が有効ですが、インスリン分泌能が保たれている患者さんに対しては「高インスリン血症」が動脈硬化の進行や発癌リスクに繋がるため、「インスリンの量を増やす薬」ではなく「インスリンの効き目を良くする薬」を優先して処方します。非薬物療法としては日本医師会の認定する「健康スポーツ医」として患者さんに運動指導を行い、栄養指導については徒歩6分(450m)の江南病院のご厚意で、そちらで栄養のスペシャリストである管理栄養士さんに行っていただく体制を整えています(予約制)。

もちろん、1型糖尿病の方や外科手術を控えている方、一部の妊娠糖尿病など、インスリン治療が必須である患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんにはインスリン治療が必要不可欠であることをご説明し、ご納得をいただいたうえでインスリン治療を導入します。クリニックレベルで治療の難しい患者さんには、糖尿病診療経験の豊富な看護師・栄養士・理学療法士などの医療従事者が多く揃い、「糖尿病チーム医療」を行える専門病院をご紹介いたします。

熊本県糖尿病発症・重症化予防対策支援事業ホームページより

糖尿病とは

糖尿病は「尿に糖がでる病気」と書きますが、その本態は「高血糖症」、つまり血管の中の糖(グルコース)の濃度が正常より高い状態です。高血圧や脂質異常症と同じく、動脈硬化の原因となります。重症にならないと自覚症状が出ず、知らないうちに体内を蝕んでいくことから、無症状でも治療する必要がある病気です。発症のカギは「インスリン」という膵臓から分泌されるホルモンで、高血糖は体内でのインスリン分泌低下(量が少ない)またはインスリン抵抗性(効き目が悪い)によって生じます。

ちなみに、糖尿病はよく高血圧や脂質異常症、高尿酸血症などと同じく「生活習慣病」という言い方をされます。確かに生活習慣がこれらの病気の発症に関与することは多いのですが、遺伝や他の疾患、年齢、性別など生活習慣以外の影響も大きく、肥満がなくても生活習慣が悪くなくても、発症してしまう方は大勢いらっしゃいます。ステロイド糖尿病や免疫異常が原因である1型糖尿病のように、本人に全く責任がない病気を考えるとわかりやすいと思います。糖尿病ではスティグマ(社会からいわれのない差別や偏見の対象となること)が問題となっており、本当に生活習慣に問題がある場合は仕方ないのですが、生活習慣病という呼称には注意が必要です。

診断

糖尿病は血糖測定や、HbA1c(ヘモグロビンA1c)・グリコアルブミンなど血糖コントロールの指標となる項目を血液検査することで診断します。境界型糖尿病(糖尿病予備軍)の方には、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で確定診断をつけることもあります。

経口ブドウ糖負荷試験に使用する試薬です。300kcalあります。

それらの検査で糖尿病と診断されたら、家族歴や肥満の有無、甲状腺ホルモンや血中インスリン、自己抗体などを測定し、1型糖尿病・2型糖尿病・その他の糖尿病など、病型が何であるかを調べます。病型によって治療法が全く異なるため、病型を調べることは重要です。

また、大事なことは、糖尿病と診断されたら眼科を受診していただくことです。もし糖尿病網膜症があれば、糖尿病が発症してからすでに5~7年以上が経過しているということになり、より慎重な合併症のフォロー、より厳格な治療が必要となります。

歯科受診の必要性について

糖尿病の慢性合併症には「しめじの心臓」つまり

 神経障害
 目(網膜症)
 腎臓
 脳血管障害
心臓 狭心症、心筋梗塞

がありますが、「第6の合併症」として歯周病が注目されています。高血糖状態では免疫力が低下するため齲歯(虫歯)や歯周病が進行するのですが、逆に歯周病があると血糖コントロールが悪化するという相互作用があります。歯周病は口内だけの病気ではなく認知症や不整脈など、全身の様々な病気のリスクとなる重要な病気ですので、糖尿病の方は眼科だけではなく歯科にも定期受診が必要です。
よく「先生、私は虫歯はないですよ」と言われるのですが、自分では歯が丈夫と思っていても歯科の先生から見ると歯周病があったり、歯磨きだけでは歯石が取れておらず定期的にメンテナンスを行っていただかないといけない、といったことは良くあります。歯科には「散髪に行くような感覚で」定期的に受診しましょう。

診療用ツールについて

糖尿病と診断されてから、患者さんにはお薬や食事療法、運動療法など勉強することがたくさんあり、診療時間内での言葉や数字の羅列だけではなかなか理解しがたいところがあるかと思います。当院では図やグラフの豊富な資材を用いて説明したり、日本糖尿病協会が作成したカードシステムのリーフレットを用いてビジュアル的にわかりやすく病態の説明や、治療目標の提示を行っています。

院長は日本糖尿病協会が主催する「糖尿病療養指導カードシステム講習会」を修了しております。カードシステムについては 日本糖尿病協会のこちらのページをご覧ください。

腎症の経過を示した図です。患者さんは自分が今どの段階にいるか、見てすぐに理解できます。

糖尿病カードシステム・リーフレットの1例です。
言葉では理解しがたい概念も、目で見ることで理解が深まります。

また、糖尿病の患者さんには「糖尿病連携手帳」の活用をおすすめしています。糖尿病は多種多様な合併症を呈するため、内科だけではなく眼科、歯科、皮膚科など様々な科での併診が必要になることがあります。血糖コントロールの指標であるHbA1cやグリコアルブミンの値は、かかりつけ以外の医療機関にかかる場合、非常に重要視されます。一方、眼科や歯科の受診記録を手帳に記載いただくことで、かかりつけ内科としても合併症の進行度を把握することができます。当院以外の医療機関を受診される際は、お薬手帳と一緒にぜひ糖尿病連携手帳を持って行かれてください。

連携手帳の表紙です。落としたりなくしたりしたときのために、お名前を記載ください。


連携手帳を医療従事者がどのように使用するかが説明されています。

当院での検査結果を記載し、他の総合病院や眼科・歯科などで確認いただきます。

眼科・歯科にかかられたら記載していただき、当院で結果を確認します。

はるか&まさやんの健康バンザイ

 のタイトル画像

熊本県が人生100年くまもと健康づくり推進事業により作成した「はるか&まさやんの健康バンザイ」のページの中に、「土曜の番組」でおなじみのはるか&まさやんが糖尿病を啓発するyoutube動画があります。

youtube動画以外にも、特定健診や循環器病、歯の健康などについて、一般の方にも大変わかりやすい内容がまとめられているページです。熊本県民の皆さまは、ぜひ一度ご覧になってください。

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