男性更年期外来
※男性更年期外来の初診は月・火・水・金の午後のみ行っております。
男性更年期外来について
女性の更年期障害は多彩な症状を呈し、生活の質をたいへん悪くすることはよく知られていますが、男性更年期障害の認知度はまだ高くありません。実は女性と同様に、男性も加齢に伴う性ホルモンの変化によって更年期障害が起こります。
男性更年期障害はLate Onset Hypogonadism (LOH症候群、加齢性腺機能低下症)と呼ばれており、中高年男性の「どうも調子が出ない」「気合が入らない」などの症状は男性ホルモン(テストステロン)不足による症状である可能性があります。
男性更年期障害の症状は
- 性欲や勃起能力の低下
- 疲労感、抑うつ症状、短気などの気分変調
- 睡眠障害
- 筋肉量の減少、筋力低下
- 内臓脂肪の増加
- 体毛と皮膚の変化
- 骨粗鬆症
など多岐にわたります。すべてがテストステロン減少が原因とは限りませんが、テストステロンが原因であれば補充療法により症状の改善が見込めます。
男性更年期障害の症状評価についてはAging Males Symptoms(AMS)スコアが国際的に使用されており、精神・心理症状、身体症状、性機能関連症状をスコア化することができます。
AMSスコアが高値の場合はLOH症候群が疑わしく、テストステロン測定が保険適応となる可能性があります。
当院では初診時に院内でAMS問診表の記載を行っていただきますが、google検索すればAMSスコアは多数出てきますので、そちらをご覧になって事前に記載し持参いただいても大丈夫です。また大東製薬工業ホームページの「男性更年期・LOH症候群セルフチェック」で自己チェックも可能です。
院長は日本メンズヘルス医学会が認定する「テストステロン治療認定医」の資格を有しています。男性更年期外来は泌尿器科の先生がされることが多いかと思いますが、当院では内科(代謝・内分泌内科)としての視点から男性更年期障害の治療を行っています。
日本における男性更年期障害の診療については、日本内分泌学会が「男性の性腺機能低下症ガイドライン」を、日本泌尿器科学会が・「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」を日本メンズヘルス医学会と共同で作成しており、当院ではそれらに沿ったエビデンスに基づく男性更年期障害の診療を行っています。
後者についてはインターネット上で無料閲覧できます。
後述するようにテストステロンが低値の場合は補充療法を行いますが、高度肥満・糖尿病など、見かけ上テストステロン値が低下する疾患の場合は補充療法の適応とはなりません。まずおおもとの疾患を治療する必要があります。
またストレスや睡眠不足、アルコール多飲、運動不足など生活習慣に問題がある方は、薬物療法の前にそちらを改善していきましょう。
男性更年期外来の流れ
- 初診
初診時は問診・診察のみとさせていただいております(初診時からのテストステロン測定はできません)。月・火・水・金の午後にご来院ください。
診察の結果、検査の適応となる方は2回目の受診でテストステロン値などの測定を行います(血液検査)。テストステロン測定は保険診療内で可能ですが、本邦では混合診療(同じ疾患に対して保険診療と自費診療を行うこと)は禁止されており、保険診療内でLOH症候群と診断された場合は自費での治療を行うことが不可能となります。そのため、テストステロン補充療法まで希望される方は自費でのテストステロン測定となります。 - 2回目
血液検査を行います。食事は食べても食べなくても大丈夫です。テストステロン値は日内変動がありますので、午前中11時までの測定をお願いします。結果は1週間以内に判明します。 - 3回目
血液検査の結果をご説明します。総テストステロン値250ng/dl未満の場合は男性更年期障害の可能性が高くなります。 - 4回目以降
活動性の前立腺癌や睡眠時無呼吸症候群があるとテストステロン補充療法は行えませんので、それらがないか精査を行っていきます。またテストステロン補充療法は副作用として精子の減少が起こるため、子どもが欲しい男性の方は治療ができません。
問題がない場合はテストステロン製剤の筋肉注射やテストステロン軟膏処方を行い、症状の改善を認めるかどうかフォローアップします。診察は2~4週間ごと行い、3か月に1回は副作用チェックのため血液検査を行います(いずれも自費診療となります)。 エビデンスは高くありませんが、テストステロン補充療法以外に漢方薬による治療も行えます。こちらはLOH症候群以外に適応となる病状があれば保険診療内で行えることもあります。ご希望の方はお尋ねください。
なお、テストステロン低下の原因として甲状腺ホルモン異常や下垂体機能低下症など別の疾患が考えられる場合は、そちらの精査・治療を優先し進めていきます。
※2024年7月現在、テストステロン注射剤は医薬品メーカーの供給制限により納入が滞っており、補充療法は外用薬のみの対応となります。
費用について(自費診療の場合)
内容 | 費用(税込) | |
---|---|---|
診察料 | 1,000円 | |
血液検査 | 総テストステロン | 3,500円 |
遊離テストステロン | 3,500円 | |
PSA(前立腺癌の腫瘍マーカー) | 2,000円 | |
LH、FSH(脳下垂体・性ホルモン) | 4,000円 | |
TSH、freeT3、freeT4(甲状腺ホルモン) | 4,500円 | |
副作用チェック採血 | 4,500円 | |
腹部エコー | 5,500円 | |
テストステロン 補充療法 |
注射(2~3週間ごと) テスチノンデポー(エナルモンデポー)125mg 1本 |
3,000円 |
外用 | グローミン軟膏 1本10g (1%製剤 1日2回 1本で約2週間分) |
4,200円 |
1%フォーミュラ 1本25g (5%製剤 1日1回 1本で約2カ月分) |
処方箋料2,500円 (別途、提携薬局へ12,100円が必要) |
※金額は時勢に応じて変更することがあります。
※グローミン軟膏については、大東製薬工業のホームページに使用方法や注意点、Q&Aなど詳しく記載されています。
1upフォーミュラ軟膏について
「テストステロン認定治療医」のみが処方できる製剤で、5%という高濃度のテストステロンを含有する軟膏です。そのため、外用薬ながら注射剤と同等の使用効果が期待できます。
1UPフォーミュラを処方する場合は、当院から提携薬局に処方箋を送付することで、数日後に提携薬局から患者さんの自宅に軟膏が届けられるというシステムになっています(同意書の記載が必要です)。軟膏が届いた後に、患者さんご自身で提携薬局に費用(税込12,100円)をお支払いいただきます。
詳しい使用法や注意点については、診察時にお伝えいたします。